売れる、夢中にさせる

「読者を動かす」でも紹介したボディコピーについて、詳しく説明していきます。

 

信じない・行動しないを突破する

以下の文は、マックスウェル・サックハイムという広告の偉人が唱えた、不朽の3原則です。

 

不朽の3原則

お客様は広告を

①読まない

②信じない

③行動しない(買わない)

 

何よりも重要なのは「①読まない」を突破すること。読まなければ②も③もありません。①を突破するために、訴求、キャッチコピー、リードコピーが存在します。

 

○売れるボディコピーの「原則原理」とは

 ボディコピー・・・キャッチ、リードコピーを除いた広告文章のこと

 

 コピーが読まれるかどうかはキャッチコピーとリードコピーで決まりますが、ボディコピーも重要です。

 なぜなら、ボディコピーが悪いとお客さんへ「買わない理由」を与えてしまうからです。そうならないた

 めにも、まず、ボディコピーの本質について説明していきますね。

 

・ボディコピーの目的

 目的は、読み手の購入意欲を育てること。キャッチコピーの目的と比較すると、それぞれに求められる文

 章の違いが見えてきます。

 

キャッチコピーとボディコピーの役割の違い

 

・キャッチコピー

目的・・・読み手の注意を一瞬で掴み、続きが気になる状態へ導く

読み手の反応・・・「なにそれ?」「どういうこと」

 

・ボディコピー

目的・・・読み手の購入意欲を育てる

読み手の反応・・・「なるほど」「これ必要だね」

 

○文章センスはなくても平気

 コピーライティング(特にセールスライティング)は文章ではなく、商品を売ります。そのため売れるボ

 ディコピーに文章センスは必要ありません。

 完璧で美しい文章ではなく、商品が欲しくなる文章が求められます。つまり、ボディコピーに求められる

 のは「優れたセールストーク」です。

 

○ボディコピーは「説得」

 セールストーク、言いかえると「説得術」です。

 説得術で重要なのは、「何をどの順序で語るか」つまり、売れるボディコピーを書くには優れた構成が必

 要。

 

○語る順序で反応が変わる

 反抗期の中学生にお使いを頼むときの例で見ていきましょう。

 

 A, 母「近くのスーパーでお米を買ってきてちょうだい」

   子「えぇ~。重いからやだぁ~」

   母「行ってくれたら、お釣りあげるから」

   子「お釣りっていくらぐらい?」

 

 B, 母「ねぇ、お小遣い欲しくない?」

   子「欲しい! 突然どうしたの?」

   母「お釣りあげるのよ。夕食のお米が足りなくて・・・」

   子「おつかいだね。いつものスーパーでいい?」

 

パターンAの方だと、その後も親子の間でやりとりが続きそうです。この会話例は、「母の命令」と「子の反発」のみで成り立っています。

パターンBの方は、実に巧妙です。初めにベネフィットを語り興味を持たせる。次に、ベネフィットが手に入る理由を語り、命令することなく自分がやるべきことを気づかせています。

 

○売れるボディコピーに欠かせない5つの法則

 読み手を動かす5つの法則について解説します。この法則を守らなければ、読み手を動かすボディコピー

 は書けません。

 

 法則① 「1対多」ではなく「1対1」を意識する

 コピーの精読率を高めるには、ターゲットを具体的に絞り込んだメッセージが必要です。

 ターゲット母数が100人でも30人でもなく、目の前にいるたった1人(ペルソナ)を動かすつもりで

 書きましょう。たった1人を動かすコピーは強い共感を生み、結果その1人に似た多数を動かします。

 

 法則② 「私」ではなく「あなた」

 ボディコピーの主役は、読み手であるお客さんです。

 お客さんは、売り手の自慢話にではなく、自分への利点に興味があります。

 「私はこれができます」ではなく「あなたはこうなります」と語りましょう。「私たちのすばらしい商

 品」ではなく「あなたに必要なすばらしい商品」と語りましょう。

 

 法則③ 伝えたいことは1つに絞る

 「何を伝えたいかわからない」といったコピーは少なくありません。その理由は、伝えたいことを1つに

 絞れていないからです。

 コピーでは、伝えたいことは1つに絞りましょう。その1つについて、お客さんの心が動くよう、たくさ

 んのことを語りましょう。

 わかりやすく説得力の高いセールスコピーにおいて、「1広告1訴求」は、重要な考え方です。

 

 法則④ 長ければよいものではない 

 セールスコピーは文章量が多くなりがちです。その理由として、「文章量が多い方が売れる」と思われて

 いる部分がありますが、それは間違いです。

 不要な文章は「読むストレス」を高めます。買ってもらうために必要な情報を全て伝えたかが重要となっ

 てきます。その結果長くなったなら問題ありませんが、わざわざ長くするために余計な情報を加えるのは

 よしましょう。

 

 法則⑤ 「わからせる」のではなく「気づかせる」

 ボディコピーはセールストークであり、説得術であるとお伝えしましたが、それは相手を論破することで

 はありません。

 重要なのは、読み手に気づかせること

 なぜ、あなたの欲求が満たされないのか?その原因はなんなのか?もっと賢い解決法な何か?

 その答えとして、商品の必要性や価値に気づいてもらうのです。他人を変えることはできません。自分で

 変わろうとするきっかけを与えるつもりで、書き進めましょう。

 

○5ステップでボディコピーを書く方法

 どのような商品にも通用する方を紹介します。それは「5ステップ構成」です。

 具体的に次の順序でボディコピーを書き進めます。

 

 ボディコピー、初心者におすすめの5ステップ

 ステップ① 読み手との共感

 ステップ② 問題提起と解決条件の提案

 ステップ③ 具体的な解決策の提案

 ステップ④ ベネフィットの訴求

 ステップ⑤ クロージング

 

 この5ステップは、基本的にタイプ3を狙うボディコピーの型ですが、内容を理解すればターゲットタイ

 プ1と2でも応用できます。

 まずはタイプ3を狙う前提で、各ステップで何を語れば良いか解説していきます。

 

 ステップ① 読み手との共感

 ターゲットの悩み、欲求、価値観に共感しながら

 「あなたのことをよく理解している」と語る

 

 ボディコピーの序盤では「読み手に共感するコピー」を書きます。目的はラポールを築くこと

 ラポール・・・心理学用語で「この人いい感じ」と思える関係

 

 ラポールが必要な2つの理由

 序盤でラポールを築くのには2つ理由があります。1つ目は、コピーの精読率がアップするから。セールス

 コピーは長文になりがちで、読むこと自体がストレスの高い作業です。最初にラポールを形成すると、ス

 トレスを減らす効果が得られます。

 2つ目は、後に続くメッセージの印象に大きく関わるからです。同じ内容でも、感じがいい人に言われる

 と、そうでない人に比べ、印象に大きな差が出ます。

 

 ステップ② 問題提起と解決条件の提案

 読み手が抱える悩みの根本原因を教え

 それを解決するための有益な情報を教える

 

 ステップ②は次に続くステップ③のために存在しています。

 ステップ③は、商品やサービスについて語るパートですが、その商品やサービスが、最高の選択肢である

 ことを読みて自身に気づいてもらうために、ステップ②があります。

 つまりステップ②は、ステップ③のコピーを読んだとき「読み手自らが商品の必要性に気づくための仕込

 み」です。

 そのために必要なのが、「読み手に有益な情報提供」です。ターゲットが抱える問題の根本原因を伝え、

 その商品を賢く改善するには、どのような条件が必要かを教えます。

 注意点は、商品について語らないことです。

 また、ステップ①とおなじように、続きが気になる話で締めくくってください。理由は次のステップ③を

 読ませるためです。

 

 ステップ③ 具体的な解決策の提案

 あなたの商品が最高の解決法であることを証明する

 

 ステップ2で提示した解決条件を満たす上で、あなたの商品が最高の選択肢であることを証明し

 ます。ベネフィットが叶う理由として商品の特徴やメリット、価値をしっかり伝えましょう。

 他のお客さんの声や推薦文、実績、事例などの客観的な証拠が用意できるとさらに効果的です。

 ステップ②がダメだとステップ③は成功しません。このステップで紹介する商品を見て、「これこそ私が

 求めていたもの!」と読み手が自分の意思で気づけるかどうかは、ステップ②のクオリティで決まりま

 す。

 

 ステップ④ ベネフィットの訴求

 たくさんのベネフィットを魅力的に語る

 

 ベネフィットを伝えないコピーは何も売らないコピーとおなじです。

 キャッチコピーやリードコピーでは伝えきれなかったベネフィットを、すべて語ってください。注意点と

 しては以下の2つです。

 

 ステップ④の注意点2つ

 1、ベネフィットは具体的に表現する

 収入アップ→年収100万円アップ

 

 2、ベネフィットが得られる理由も同時に語る

 年収100万アップ→希望の外資系に転職して年収100万アップ

 

 たった1つのベネフィットが人を動かす

 コンビニや本屋で、読んだことのない雑誌を立ち読みしたことはありませんか?おそらく、表紙に書かれ

 たいた何か1つの情報が気になり、その雑誌を手に取ったのではないでしょうか?

 この感覚に似ていますが、どれか1つのベネフィットが気になって反応するお客さんもいます。なので、

 ベネフィットはなるべくたくさん伝えましょう。次のように箇条書きで表現するとわかりやすくなりま

 す。

 

 この速読術をマスターすれば・・・

 ・通勤時間だけで毎月10冊以上の本が読めます。

 ・動体視力がアップし、バッティングセンターで140kmの送球を打てます

 ・頭の回転が速くなり、集中力がアップします。

 ・情報処理能力がアップし、仕事でもっと結果が出せるようになります

 ・得たい知識や技術を、短時間で脳内にインプットできます

 

 ステップ⑤ クロージング

 今すぐレスポンスしてもらう

 

 ※クロージング・・・お客さんとの取引を成立させること

 

 このステップはとても重要になってきます。ステップ⑤がダメだと、ステップ④まで良くても申し込んで

 くれません。「また今度でいいか」と離脱してしまいます。

 クロージングを成功させるには、次の3つが必要です。

 

 クロージング成功のポイント3つ

 ①今すぐ申し込むべき理由

 ②リスクリバーサル

 ③価格の正当性

 

 ①今すぐ申し込むべき理由

 「○月○日までにお申し込みの方は◯円割引」「先着◯名に限り◯をプレゼント」など、今すぐ申し込ま

 ないと損するオファーが効果的です。

 

 ②リスクリバーサル

 「保証」「サポート」「お試し期間」など、申込み後に考えられる後悔やリスクを払拭するオファーが効

 果的です。

 

 ③価格の正当性

 低価格な商品であっても、コスパに優れている理由を語りましょう。

 安さを謳うのではなく、価値の高いものがお得な価格で手に入ることを感じさせます。

 

 背中を押さなければお客さんは動いてくれないので、最後の最後まで気を抜かないようにしましょう。

 

○迅速にボディコピーを書き上げる3ステップ

 ボディコピーを短時間で書き上げる方法をお伝えします。

 

 迅速にボディコピーを書き上げる3ステップ

 ステップ① 細かいところは気にせず、とにかく書き進める

 ステップ② 書き終えたら1日放置してブラッシュアップ

 ステップ③ 最終テェック

 

 ステップ① 細かいところは気にせず、とにかく書き進める

 「なかなか書き進められない」「途中で何度も手が止まる」などの問題は、最初から細かいところにこだ

 わり過ぎていることが大きな原因です。

 まずは、乱文でもいいので、ざっくばらんに書き進めましょう。誤字脱字や表現にこだわらず、とにかく

 書き進めてください。キーボードの「Delete」「Back Space」は使用禁止です。

 

 ステップ② 書き終えたら1日放置してブラッシュアップ

 ざっくばらんに書き終えたら1日放置してください。時間を置かないと冷静に見直せないので、放置期間

 中は1文字でも読み返さないようにしましょう。

 その後、コピーを読み返して誤字脱字や表現を修正します。少しでも不要に感じたコピーは勇気を出して

 削除しましょう。

 ちなみに、執筆後の修正や編集を「ブラッシュアップ」といいます。

 

 ステップ③ 最終チェック

 ブラッシュアップを終えたら、書いたコピーを声に出して読みます。スラスラ読めない部分や言葉に詰ま

 った部分をチェックして、さらに読みやすくなるようブラッシュアップしましょう。

 最終チェックの質を高めるのに、他人に読んでもらうのも非常に効果的です。

 

 

 

 それでもボディコピーが書けなかったら

 「書く作業」を「話す作業」に変える方法を教えます。

 具体的に3つのステップで取り組みます。

 

 ステップ1 ペルソナに近い写真を用意する

 Googleの画像検索などを使って、ペルソナに近いターゲット写真を探してください。見つけたらプリン

 トアウトして目の前におきます。

 

 ステップ2 写真に向かってセールストーク

 ボディコピーの5ステップ構成に基づき、写真に向かってセールストークをします。表現など細かいとこ

 ろは気にせず、とにかく話し続け、そのすべてを録音してください。

 

 ステップ3 文章におこしてブラッシュアップ

 録音したセールストークを文章におこします。その後、文章の流れ、誤字脱字、表現などを修正してブラ

 ッシュアップすれば完成です。

 

 

前半はボディコピーについての詳しい説明、後半は初心者向けの書き方を話していきました。

ボディコピーを書くのに様々な順序があり大変だと思いますが、大切なのは悩んでいても仕方がないのでとりあえず書き進めていきましょう。失敗したり、うまくいかないと思うのは当たり前のことです。そこから時間を置き、読み直して修正していけば問題ありません。

困ったら、この章を何度も読み返してもらって構いません。少しずつ書けるようになっていきます。