身につけよう! マーケティングスキル Part2

マーケティングテクニックの続きを紹介していきます。

マーケティングを学んでおくことで、コピーを書くときの手助けになります。

 

 

 

 

積極的に売り込まずに売る方法

絶対に見るなと言われると、無性に見たくなる

 

「絶対に開けないでね」と言われると開けたくなる。

「お願い ここから先のページは読まないでください」と書いてあると読みたくなる。

「あそこに近づかないで」と言われると近づきたくなる。

 

人は禁止されたり、断られたりすると、逆にその対象に対して興味が湧くという性質があります。

これを心理学でカリギュラ効果と言います。

 

カリギュラ効果・・・禁止されたり、制限された行動をかえってやりたくなってしまう心理現象

          1980年に米国で公開され、過激なシーンで話題になった映画「カリギュラ」の

          公開規制により、かえって観たがる人が増えた現象から命名された

 

こういった人間心理を理解していると、「まだ申し込みをしないでください」「お願い。まだ買わないで」などの表現を使い、逆に購買意欲を刺激できます。

 

この禁止法は頻繁に使うと効果が薄れますが、ポイント的にセールストークや広告で使用すると意外に効果があります。

 

 

人間心理・・・人は断られたり、禁止されたりすると、逆にその対象に対して興味が湧く

具体的行動・・・交渉、セールス、接客の場面であえて販売しない、契約させないことを伝えてみよう

 

 

 

不安を煽って行動喚起に結びつける法

失敗したくないと思うと、行動力が上がる

 

人間には2方向の欲求があると言われています。

ひとつ目が前向きな欲求(プラスの方向)。

「幸せになりたい」「お金持ちになりたい」「仕事で成功したい」といったもの。

ただし、前向きな欲求は多くの人が持っていますが、なかなか「行動」につながらないという特徴を持っています。

 

「幸せになりたい」と思っても幸せになるための方法を具体的に考えて、行動を起こす人はなかなかいません。

「お金持ちになりたい」と思っても投資や金融の勉強をしたり、商売をする準備を始める人は少ないですし、「仕事で成功したい」と思ってもどうすれば成功するかを考えて、実行に移す人は多くありません。

 

ふたつ目が後ろ向きな欲求(マイナスの方向)。

「失敗したくない」「損したくない」「笑われたくない」といったもの。

前向きな欲求に比べて「行動」する人が多いのが特徴です。

 

「大事なプレゼンで失敗したくない」「みんなの前で恥をかきたくない」「部下にバカにされたくない」と思うから、あらかじめ綿密な計画を立てたり、事前練習をしたり、前もって対策を練ったりします。

この原則によれば、もしセールストークや広告コピーで前向きな表現をしても、相手の反応が弱いときには、あえて後ろ向きな表現に変えるのも一つの手かもしれません。

 

(前向き)「あなたにはこのドレスしか似合いません」

(後ろ向き)「このデザインであれば、どんなパーティーでも恥をかくことはありません」

 

(前向き)「このセミナーを受けるとお金について詳しくなります」

(後ろ向き)「このセミナーでお金で損することを防げます」

 

(前向き)「ダイエットでスリムな体づくりを目指しましょう」

(後ろ向き)「将来健康に困らないためにダイエットを」

 

コツ・・・後ろ向きなコピーは不安を煽るため、多用するのは避けましょう。

 

人間心理・・・人は後ろ向きな欲求の方が行動に結びつきやすい

具体的行動・・・営業トークやキャッチコピーで後ろ向きな欲求の代表的なフレーズが「失敗しない」

        「ミスしない」「恥をかかない」「損をしない」など。

        不安を煽ることでお客さんの行動喚起を刺激する場合にこうした表現を検討しよう

 

 

 

罪の意識が残らない訴求法

手軽さを誇張すると、逆にネガティブに感じる

 

人は「幸せになりたい! 絶対幸せになりたい!」と思う反面、幸せなことが続くと、かえって不安になることがあります。

人の心は快と罪の意識が常に葛藤しているもの。

この心理を考えると、たとえば主婦向けに惣菜をPRするとき

 

          「毎日の調理の手間が省けてラクができます!」

 

という説明だけだと「快」のフォローだけで、「罪の意識」のフォローができていないことに。

調理をしない手抜き主婦という「罪の意識」が残ってしまうわけです。

 

そこで、

 

           「育ち盛りのお子さんのために!

           手軽にできるおかずをもう一品増やしてみませんか?」

 

といったように罪の意識が残らないように訴求すると受け入れられやすくなります。

 

人間心理・・・人の心の中では快と罪の意識が葛藤している

具体的行動・・・セールストークや広告コピーでは「快」と「罪の意識」の両方をフォローしよう

 

 

 

お客様の行動喚起を促す方法

名指しされると、行動を取りはじめる

 

1964年にニューヨークで女性がナイフで襲われる事件がありました。

被害者の女性は30分以上犯人に襲われ、その間助けを求めていました。

警察によると女性の声を聞いた人は少なくとも38人にのぼったそうです。

しかし、警察に通報したのはたったの1人だけでした。

おそらく、事件を目撃した人もいたはずですが、多くの人は自宅近くで起きた事件に無関心だったわけです。

 

社会心理学者のジョン・ダーリー氏とビブ・ラタネ氏はこの事件を調べ、さらに実験の結果から、多くの人が無関心だった原因を次のように指摘しました。

「多くの人が気づいたからこそ、誰も行動を起こさなかった」

つまり、人は重大な問題や状況に直面したら自分で責任を負うことを避け、「きっと他の人が対処するだろう」と考え、行動を起こさない傾向があるということです。

 

特にその問題や状況に関わっている人が多ければ多いほど「誰かが対処するだろう」という思いは強まり、そして、「大勢の前で自分が関与して失敗するのは恥ずかしい」という思いも強くなります。

これが「傍観者効果」です。

 

この理論は広告やコピーでも使えます。

「皆さんにお得なお知らせです」といったように訴求対象も行動指針もアバウトであれば、お客さんは傍観者傍観者になる可能性が高いということです。

 

人間心理・・・人は名指しされて行動を指示されると自分ごとだと思う

具体的行動・・・広告コピーは訴求対象者ととってもらいたい具体的行動を明示しよう

 

 

 

お客様に嫌われないコピー術

自分のことばかり話すと、相手はうんざりする

 

年末にあなたの手元に友達から二通の手紙が届いたとします。

一通は次のような手紙。

「先月、私はハワイに行ってきました。

 青い空と広い海と美味しい料理を毎日楽しみました。

 寒い日本とは違うので私もリフレッシュ!

 日本に帰ってきても、英会話教室やダンススクールもあってなにかと忙しいです(笑)。

 来週、そちらに行く用事のついでに会えないかと思いますがどうでしょうか?」

 

もう一通はこのような感じ。

「お元気ですか?

 先日、久しぶりにメールをいただきとても嬉しくなりました。

 そういえばお子さんは来年大学受験ではありませんか?

 これから入学試験だと思いますが、志望校に合格できるよう祈ってます。

 来週、そちらに行く機会があります。

 よければ久しぶりに会ってあなたの話を聞きたいです。」

 

この二通を見比べて、親しさを感じるのは後者の方だと思いませんか?

この違いが生まれるのは、主語が違うからです。

前者の手紙の主語は「私」、後者の主語は「あなた」です。

主語を「私」にして自分のことばかり伝えていたら、相手はあなたを自己中心的な人物だと感じてしまいます。

 

ビジネスでも、相手に何かを伝えたいなら、主語を「あなた」にしましょう。

広告コピーなら「この商品は」「わが社は」ではなく、やはり「あなた」です。

広告コピーでは「あなた(お客様)」を念頭に置きましょう。

 

人間心理・・・人は自分のことばかり話したり、自画自賛する人にうんざりする

具体的行動・・・キャッチコピーを考えるときは、「あなた(お客様)」を念頭に置いてつくろう

 

 

 

広告の信憑性を上げる方法

発信者が誰かがわかると、信頼性が生まれる

 

企業のポスターなどで、顔写真が入っている方が入っていない方よりも信用されます。

これは、人は「顔の見えない不特定多数や組織」よりも「顔の見える1人の個人」に関心をもつ心理が働くからでしょう。

SNSもチラシもDMも営業ツールも情報発信をするときには「顔の見えない会社や店舗」からではなく、

「会社や店舗の中の顔の見える個人」から情報発信するようにしたほうが相手には強い関心を持ってもらえます。

 

お客さんは無機質な会社やお店に興味があるのではありません。

関心があるのは「顔の見えるあなた」です。

 

人間心理・・・人は不特定多数や組織よりも、「顔の見える個人」に関心をもつ

具体的行動・・・情報発信をするときには、訴求対象に関心や信用を抱いてもらうために発信者が誰か

        具体的にわかるようにしよう

 

 

 

権威で訴求するコピー術

第一印象の身なりが良いと、人格までよく見えてくる

 

心理学用語に「ハロー効果(後光効果)」と呼ばれるものがあります。

身なりが立派な人は仕事ができる、有名大学卒業者は新人であっても一目置かれるといったように、初めの印象によって、その人が高く評価されるというものです。

 

ビジネスの場で応用する場合、たとえばプレゼンテーション、交渉、接客をする際には何かハロー効果につながるものと企画をつなげると相手に好印象を与えることができます。

商品POPを書くとき、「お買い得! 5本指ソックス」よりも「〇〇新聞『中高年の健康増進特集記事』で紹介! 5本指ソックス」と書いたほうがハロー効果が働きます。

 

逆に身なりがだらしないなどの第一印象によりネガティブイメージが植え付けられることもありますのでご注意を。

 

人間心理・・・人は視覚、肩書き、マスコミ、統計、医療、学問、権威などにプラスの印象をもつ

具体的行動・・・ハロー効果が見込めるものは名刺、営業資料、サイトに明示しよう

 

 

 

自分ごとだと思ってもらうコピー術

自分ごとだとわかる説明だと、受けては関心を抱く

 

前回商品には、「商品価値」と「付加価値」という2つの側面があることをお話しました。

 

商品価値は、その商品本来が持っている価値。

ビールなら爽やかにのどを潤し、おいしくてリラックスさせてくれるアルコール飲料ということです。

 

評価価値は、お客さんが抱く価値。

商品価値にお客さんがさらに付加価値を感じる部分。

ビールでは、高級感やプレミア感という付加価値が感じられるようなこと。

 

このうちの評価価値をお客さんにうまく受け止めてもらうことができれば、その商品は高く買っていただくことができます。

評価価値は、実績や経験、知名度などによって変わってくるのですが、既存の商品の評価価値を上げるのに簡単な方法が、ネーミングやキャッチコピーを変えることです。

事例で説明します。

以下のAとBは商品価値は同じですが、コピーによって評価価値が変わります。

 

A:ざるそば 500円

B:信州の風味豊かなそば粉のみ使用。 毎朝店主が3時から手打ちしています。限定50食。 

   ざるそば 750円

 

A:人気の芋焼酎 3,500円

B:酒販店主だけが知る幻の芋焼酎 10本限定入荷! 

  7,000円

 

すでに商品の知名度が高く、ブランド力があり、実績があるなら、キャッチコピーなどを変えて訴求方法を改める必要はありません。

しかし、商品価値がしっかりあり、他社の商品との優位性もはっきりしているのに売れ行きが上がらないのなら、評価価値を全面に押し出すアプローチを進めるべきです。

これからのお客さんは、自分の個性や嗜好のあったものを多くの商品から探すことを余儀なくされます。

その選択肢に入るには、キャッチコピーでその商品ならではのユニークさを目立たせることです。

 

人間心理・・・人は自分の個性にあった評価価値から商品を選ぶ

具体的行動・・・競合とはっきり違う優位性がわかるキャッチコピーを考えよう

 

 

 

人がどういったときにどのような行動を取るのかを想像し、それに絡んだマーケティング要素を含んだコピーを書いていきましょう!