電波のように伝わる 「比喩表現」

文章をわかりやすく伝えるために、「比喩」が使われることがあります。

比喩とは、「あることをわかりやすく伝えるために、似ているものに置き換えること」をいいます。

おそらく小学5年生の時に習ったと思います。

今回はキャッチコピーにも役立つ「比喩」についてやっていきます。

 

 

 

○比喩とは何か

 

小学校の復習としておさらいしていきます。

「もうすでに知っているぞ!」「バカにするな!」という方がいらしたら申し訳ございません。

ここは読み飛ばしてもらってOKです!

 

冒頭でもお伝えしたとおり、比喩には「あるものをほかのものにたとえて表現する」効果があります。

「喩(ゆ)」には、「たとえて、意味・内容を理解させる」という意味があります。

 

 

・比喩の役割

比喩は、書き手の主張や大切なことを読み手に印象付ける役割を担っています。

比喩を使うことで、理解しにくい物事がわかりやすくなったり、イメージしやすくなったりします。

 

 

・比喩の4つの効果

比喩には以下の4つの効果があります。

 

1.ショートカットできる

2.難解、複雑、未知の内容をわかりやすく伝える

3.読み手がイメージしやすくなる

4.意味を強調できる

 

 

1.ショートカットできる

作家の大沢在昌さんは、著書『小説講座 売れる作家の前技術』で「比喩とは、三行費やさなければ説明できないことを一行で説明できる、非常に有効なショートカットの手段です」と述べています。

 

 

2.難解、複雑、未知の内容をわかりやすく伝える

「Aは、あなたがすでに知っているBと同じ」 

「これから私が話すのは、あなたも知っているあの例と同じ」と説明することで、

伝わりやすくなります。

 

 

3.読み手がイメージしやすくなる

「新しい商品のサイズは、縦15cm、横10cmです」と表現するより、

「新しい商品は葉書と同じぐらいのサイズです」と表現したほうが、

サイズ感をイメージしやすくなります。

 

 

4.意味を強調できる

「明るい女性」と書くよりも、「太陽のように明るい女性」と書いたほうが、明るさや健全さが強調されます。

 

 

 

○「直喩」「隠喩」「擬人法」

比喩には直喩、隠喩、換喩(かんゆ)、提喩(ていゆ)、諷喩(ふうゆ)、擬人法など、

いくつか種類があります。

一般的に使われているのは、直喩、隠喩、擬人法の3つです。

 

 

直喩

「まるで〇〇のような」「〇〇みたいな」と説明で例える。

 

(例)

彼は怒っている→彼は鬼のように怒っている

 

深い話だ→まるで海のように深い話だ

 

コミュニケーションは双方向である→コミュニケーションはキャッチボールである

 

 

隠喩

「のような」「みたいな」を使わずに例える。

直接の表現が隠れている。

 

(例)

あの人は繊細だ→あの人はガラスの心を持っている

 

歩きすぎて足が疲れた→歩きすぎて足がになった

 

あの人はいろいろなことを知っている→あの人は歩く辞書

 

 

擬人法

生物やものなど、人間ではないものを人間の言動に例える。

 

(例)

花は咲き、鳥は鳴いている→花は笑い、鳥は歌っている

 

エンジンの調子が悪い→エンジンが悲鳴を上げている

 

ついに火山が噴火した→ついに火山が怒りだした

 

 

 

○より強い印象を与えたいときは「隠喩」

直喩と隠喩の違いとは何か?

隠喩には「のような」「みたいな」など、比喩を明示する言葉がついていません。

隠喩は、「AはBである」と断定する表現なので、直喩よりも鋭く、強い印象を与えます。

 

(例)

子供は笑顔を見せた

 

・直喩・・・子供はまるで天使のような笑顔を見せた

 

・隠喩・・・子供は天使の笑顔を見せた

 

 

時間は大切である

 

・直喩・・・時間はまるでお金のように大切である

 

・隠喩・・・「時は金なり」である

 

 

あの人は怖い人だ

 

・直喩・・・あの人は悪魔のような人だ

 

・隠喩・・・あの人は悪魔だ

 

 

隠喩は、受け手にとってさまざまな意味にとらえられかねません。

伝えたい意図とは違う意味で解釈されることもあるので気をつけましょう。

 

 

 

比喩表現を使うことで、長い文章がショートカットでき、すっきりとした伝わりやすい文章へと変化します。

使える場面があったらどんどん活用していきましょう。